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バイバイ、ブラックバード
2011年12月19日 読書 コメント (1)
「伊坂幸太郎ってどんな作家?」と聞かれたら、僕は迷わずこの本を薦めるだろう。
それくらい、この物語には伊坂幸太郎のエッセンスと魅力が詰まっている。
5人の女性と同時に付き合っていた男が、それぞれの女性に別れを告げに行く、という話。太宰治の「グッドバイ」へのオマージュになっているのだとか。
どこかちょっとだけ常軌を逸したキャラクターと、彼らの掛け合いが軽快なテンポを生み出し、暗いはずの物語を軽快に進行させている。とんちんかんだけど、変に生真面目で、思いやりがある主人公・星野と、傍若無人な怪物女・繭美の凹凸コンビが良い味を出している。別れを告げに行く女性たちもそれぞれどこか変わっていて、魅力がある。
何気なく張った伏線をラストで鮮やかに回収するだけでなく、そこに人情を絡めて人間味豊かなドラマに昇華させている。1章ごとに1人の女性がフィーチャーされ、物語の進行は女性との馴れ初めやエピソードから、別れを告げる現在へ繋がる。最後に、別れ際、彼女たちが困っていることについて、主人公がささやかな手助けをする。ここに伊坂の妙があって、過去のエピソードで張っておいた伏線を回収しながら読者をハッとさせ、主人公の心配りや女性との心の交流を描くことでほろっとさせる。大きな盛り上がりや山場はなく、物語はこじんまりとしたものだが、逆にそれがストーリーの温かさを際立てている。
話の切り方もうまい。物語は、その中の問題が解決するまで終わってはいけないし、謎は解明されなくてはならない、と僕は思う。だから、そういう意味で中途半端な終わり方をしている話は好きではない。『バイバイ、ブラックバード』もそのような、尻切れトンボのような終わり方ばかりだが、僕の好みを差し引いても、それぞれの章は綺麗な終わり方をしていると言わざるを得ない。たぶん、キャラクターが巻き込まれている状況というのは問題ではなくて、伊坂が描きたかったテーマを描き切ったところで話を切っているから、不満もなく綺麗だと感じるのだろう(そういえば、『重力ピエロ』もそうだった)。
まとめると、伊坂幸太郎の魅力をぎゅっと詰め込んだ1冊になっている。
気軽に読めるので、伊坂幸太郎を読んだことがなくて、ちょっと気になっている人は手をつけてみてほしい。
それくらい、この物語には伊坂幸太郎のエッセンスと魅力が詰まっている。
5人の女性と同時に付き合っていた男が、それぞれの女性に別れを告げに行く、という話。太宰治の「グッドバイ」へのオマージュになっているのだとか。
どこかちょっとだけ常軌を逸したキャラクターと、彼らの掛け合いが軽快なテンポを生み出し、暗いはずの物語を軽快に進行させている。とんちんかんだけど、変に生真面目で、思いやりがある主人公・星野と、傍若無人な怪物女・繭美の凹凸コンビが良い味を出している。別れを告げに行く女性たちもそれぞれどこか変わっていて、魅力がある。
何気なく張った伏線をラストで鮮やかに回収するだけでなく、そこに人情を絡めて人間味豊かなドラマに昇華させている。1章ごとに1人の女性がフィーチャーされ、物語の進行は女性との馴れ初めやエピソードから、別れを告げる現在へ繋がる。最後に、別れ際、彼女たちが困っていることについて、主人公がささやかな手助けをする。ここに伊坂の妙があって、過去のエピソードで張っておいた伏線を回収しながら読者をハッとさせ、主人公の心配りや女性との心の交流を描くことでほろっとさせる。大きな盛り上がりや山場はなく、物語はこじんまりとしたものだが、逆にそれがストーリーの温かさを際立てている。
話の切り方もうまい。物語は、その中の問題が解決するまで終わってはいけないし、謎は解明されなくてはならない、と僕は思う。だから、そういう意味で中途半端な終わり方をしている話は好きではない。『バイバイ、ブラックバード』もそのような、尻切れトンボのような終わり方ばかりだが、僕の好みを差し引いても、それぞれの章は綺麗な終わり方をしていると言わざるを得ない。たぶん、キャラクターが巻き込まれている状況というのは問題ではなくて、伊坂が描きたかったテーマを描き切ったところで話を切っているから、不満もなく綺麗だと感じるのだろう(そういえば、『重力ピエロ』もそうだった)。
まとめると、伊坂幸太郎の魅力をぎゅっと詰め込んだ1冊になっている。
気軽に読めるので、伊坂幸太郎を読んだことがなくて、ちょっと気になっている人は手をつけてみてほしい。
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コメント
貸した3冊のうちで他の2冊は結構クセのある話だけど、これは割と綺麗にまとまってるから気に入るんじゃないかなーと思ってたので、少なくとも1冊はヒットしたものがあってなによりでした。
そして、感想が読みたかったので書いてくれてあざーっす。
自分が感想を書くと、とにかく書きたいことが分散して、書き散らかしただけみたいになるので、身近な人で他の人の、特にEi-m君の感想を読んでみたかったのですよ。
切り口をはっきりさせ、構成を丁寧にまとめるという何かしら文章を書く際当たり前の事が自分は苦手なので、以前から別の本の感想を書いていた内容を思い出して、これは一度書いてもらおうという打算もあって貸しましたw