第1回はこちら:http://everchildren.diarynote.jp/200811260154275841/

今回は、「先手と後手の有利不利」ではなく、「先手と後手の手札のキープ」について考察する。それにあたり初代リミッツチャンプである田崎氏の記事(http://80751.diarynote.jp/200703020227080000/)を参考にしており、内容は相似するが、自分の思考を整理するために書くものであるためご了承いただきたい。


「後手ならキープするけど先手ならマリガン」という台詞を聞いたことがあるプレイヤーは少なくないと思う。土地が少ないが、ゲームを決めうる強力なカードを含む手札が来たとき、我々は直感的に後手ならキープしやすいと思うし、先手ならキープしにくいと思う。これは、後手のほうが最初のターンのドローがある分、土地を置くことができないターンが少なくなるという事実に基づいている。では、その直感に基づいて、後手であればキープし、先手であればマリガンするのが正解だろうか?先手ではキープしてはいけないのだろうか?

問題を簡略化するために、以下のように条件を設定する。
・初手に土地が1枚ある
・ライブラリの上から2枚目に、2枚目の土地がある
・2マナまで辿り着けば良い


土地1枚だけど《印鑑》があって、3マナあればゲームになりそう・・・という手札を思い浮かべていただければいい。この手札をキープしたときの、リソースの推移を(手札の枚数,場に出した土地の枚数)の形で追ってみる。また、対戦相手はマリガンせず、毎ターン土地を置くことに成功するものとする。自分をM、対戦相手をOと記す。

(a)後手のとき
Turn 1: O(7,0)→(土地を置く)→(6,1)
Turn 2: M(7,0)→(ドロー)→(8,0)→(土地を置く)→(7,1)
Turn 3: O(6,1)→(ドロー)→(7,1)→(土地を置く)→(6,2)
Turn 4: M(7,1)→(ドロー)→(8,1)→(土地を置く)→(7,2)
Turn 5: O(6,2)→(ドロー)→(7,2)→(土地を置く)→(6,3)
(以下略)


(b)先手のとき
Turn 1: M(7,0)→(土地を置く)→(6,1)
Turn 2: O(7,0)→(ドロー)→(8,0)→(土地を置く)→(7,1)
Turn 3: M(6,1)→(ドロー)→(7,1)→(土地を置くのに失敗)→(7,1)
Turn 4: O(7,1)→(ドロー)→(8,1)→(土地を置く)→(7,2)
Turn 5: M(7,1)→(ドロー)→(8,1)→(土地を置く)→(7,2)
Turn 6: O(7,2)→(ドロー)→(8,2)→(土地を置く)→(7,3)
(以下略)


(a)でのTurn 3-5と、(b)でのTurn 4-6を比較してみると、
Turn 3: O(6,1)→(ドロー)→(7,1)→(土地を置く)→(6,2)
Turn 4: M(7,1)→(ドロー)→(8,1)→(土地を置く)→(7,2)
Turn 5: O(6,2)→(ドロー)→(7,2)→(土地を置く)→(6,3)

Turn 4: O(7,1)→(ドロー)→(8,1)→(土地を置く)→(7,2)
Turn 5: M(7,1)→(ドロー)→(8,1)→(土地を置く)→(7,2)
Turn 6: O(7,2)→(ドロー)→(8,2)→(土地を置く)→(7,3)

対戦相手の手札が(b)で1枚多いことを除けば、ゲームの展開は一緒である。プレイされた土地の枚数が先手後手を決める、つまり、土地を多くコントロールしているプレイヤーが先手プレイヤーだとすれば、(b)では、先手だった自分が1度土地を置き損ねて、対戦相手が先に3枚目の土地を置いたわけだから、後手に回ってしまったといえる。

これより、
初手に土地1枚のとき、
先手
→(土地をトップすることに)成功:先手
→失敗:後手、相手が先攻ドローあり

後手
→後手

と展開をまとめることができる。この表で重要なことは、「先手で土地を置き損ねる」ということは、「自分が後手で、相手が先攻ドローありでゲームを始める」こととほとんど同値である、ということである。


ここからは数学的な根拠のない、個人的な感覚による主張であるが、先手を取って以後のドローで土地を引く確率と、対戦相手に1枚のカードを与えるリスクを考慮すれば、後手でキープする手札は先手でもキープすると思う。また、先手を取ったときに背負うリスク、「対戦相手に1枚のカードを与える」ことだけでゲームに敗北するような手札は、後手でもマリガンすべきであると考える(だって、対戦相手がカードカウントで1枚得するだけでゲームに負けてしまう手札なのだから!)。すなわち、「後手ならキープするけど先手ならマリガンする」手札は、先手でもキープするし、先手でキープできないなら後手でもキープしない手札であるといえよう。

今回は、1枚のカードを与えるリスクについての考察(構築戦ならともかく、限定戦では1枚のカードがゲームを左右しかねない)や、考慮する状況の一般化が不十分である。これらの問題を解決していけば、マジックの"真理"に近づけるだろう。先手後手の有利不利を考えるきっかけや、より深い考察をする際の参考になれば幸いである。

コメント

Teru
2009年1月7日8:49

非常に興味深い内容でした。現在キャリア1年2ヶ月弱でヘボプレイヤーですが、宜しくお願いします。リンクさせて頂きます。
今後の参考にさせて頂きます。

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