先手後手の思考実験 その1
2008年11月26日 Magic: the Gathering コメント (2)何故今更「先手と後手」などという普遍的なテーマについて考えるのか。「先手と後手、どちらが有利なのか」という問について、既に自分なりの結論を出しているプレイヤーが大半だと思う。しかし、僕はまだ結論を出し損ねているし、自分の理解の範囲と、これから考察すべき事柄をはっきりさせるためにも、このテーマについて書いてみたいと思う。
様々なアプローチから「先手と後手」について考えるということと、結論が現時点で出ていないことから、文章の構成などについては全く気を遣っていない。つまり、僕が日々ぼーっと考えたことを脈絡もなく書き殴るということである。そのため、各回の繋がりがなく非常にまとまりがない記事になることが予想される。この点についてはあらかじめご了承いただきたい。
ちなみに題材として、先手を取るか後手を取るか意見の分かれるフォーマットであるシールド戦を取り上げる。特に断りがない場合は全てのフォーマットに通ずる一般論、もしくはシールド戦を想定していただければ良い。
前提としてシールド戦と言っておきながら申し訳ないが、まず初めにスタンダードやエクステンデッドなどの構築戦を思い浮かべて欲しい。あなたが先手後手を決めるダイスロールに勝ったとしたら、どちらを取るだろうか?おそらく、大半の人が先手を選択すると思う。
では、何故先手を選択するのか?そのために、ゲームが終わったときの状況を考えてみることにする。以下、簡単のためお互いにマリガンしない、自分のターンでゲームに勝利すると仮定する。先手でゲームに勝ったとき、あなたは相手よりも1ターン多くプレイしている。後手でゲームに勝ったとき、あなたは相手よりも1枚多くカードを引いている。つまり、相対的に、先手なら1ターン、後手なら1枚のカードを得していることになる。では、1ターンと1枚のカード、どちらが貴重であろうか?・・・答えは明白である。
1ターンと1枚のカードの重さを天秤にかけてみて、(完全ではないが)先手がどうも有利そうだというのは分かった。ではここで、マジックのルールを少しいじってみることにしよう。
その他のルールは既存のものと同じである。このルール下では、先手と後手はどちらが有利だろうか。第1ターン、第2ターンを思い浮かべてみれば自ずと明らかであろうが、後手が有利である。何故なら、先手は第1ターンでドローが無く、何もできぬままターンを終えるからである。第2ターン、後手のプレイヤーはドローができる。この時点で気がつくのは、後手のプレイヤーの方が先手のプレイヤーよりも先にカードをプレイできる機会と確率があるということだ。つまり、後手のプレイヤーの方が、先手のプレイヤーよりも先にアクションを起こしやすいということだ。ここから、次のようなことが言える。
・プレイできるカードが無ければ、ターンがあっても意味はない
補足しておくと、プレイできるカードが無かったとしても、クリーチャーでの攻撃など、ゲームに影響を与えるアクションができるのであれば、ターンに意味がないということはない。
「先手と比べて後手の方が、最初のターンでプレイできるカードの選択肢が1枚多い」という主張は、シールド戦で後手を取る根拠として良く聞く。これは先ほど述べた「プレイできるカードが無ければ、ターンがあっても意味はない」に通ずるところがある。先ほどの仮定で「マリガンしない」としたが、実際我々は嫌になるくらいマリガンをするし、マリガンをしたとしても満足のいく手札に出会える保証はない。そして、手札の呪文をキャストするのに満足なマナソースがなければ、それらの呪文はゲームに影響しない。特に、このマナソースを揃えるために後手を取ると主張するプレイヤーが多いと思う。
そこで、そんなプレイヤー達のために、またまたルールをいじったゲームを考える。
このルールのシールド戦であっても、まだ後手の方が有利だというプレイヤーはいるだろうか?数学的な証明はできないが、経験上20枚の手札があってなお、1ターンの有利よりもう1枚多くの選択肢を選ぶということはあり得ない。デッキが40枚とすると、デッキの半分が手札であれば(プレイできるカードの選択肢が1枚増える)<(ターン進行の有利)が成り立つはずである。
改変したルール下での検証から、初期手札がX枚の時、Xが0に近づくほど後手が有利であり、(シールド戦なら)40に近づくほど先手が有利と言える(デッキ全てが初期手札だとライブラリアウトで負けてしまう、というツッコミは無しで)。またこれより、先手・後手の有利が入れ替わる初期手札枚数の境界Bが存在するはずである。B>Xであれば後手と取った方が良いし、B<Xであれば先手を取るべきである。つまり、この分水嶺Bさえ求めることができれば、先手と後手の有利不利が明らかになる。しかし、「先手と後手、どちらが有利かは環境次第」と言われるように、このBも所謂"環境"に依存する。そこで、"環境"がどのようなパラメータによって表されるかを知る必要がある。もしくは、更に問題を簡略化して(例えば、1種類の基本土地と数種類の呪文しかないマジックを仮定する、など)、比較的"環境"に依存しない一般的なモデルを考えるアプローチも考えられる。
結論として「環境次第」という、全く進歩のないオチになってしまったが、"環境"についてのパラメータを考察すればいいことが分かった。これについては以降の考察で取り扱う予定である。
# なお、ご意見、ご感想は随時お待ちしております。コメントまでどうぞ。また、「こういうアプローチはどうか」などのアドバイスも大歓迎です。さらに、「実は答え知ってる」というマジックの神様のような方がおりましたら是非ご連絡下さい。
様々なアプローチから「先手と後手」について考えるということと、結論が現時点で出ていないことから、文章の構成などについては全く気を遣っていない。つまり、僕が日々ぼーっと考えたことを脈絡もなく書き殴るということである。そのため、各回の繋がりがなく非常にまとまりがない記事になることが予想される。この点についてはあらかじめご了承いただきたい。
ちなみに題材として、先手を取るか後手を取るか意見の分かれるフォーマットであるシールド戦を取り上げる。特に断りがない場合は全てのフォーマットに通ずる一般論、もしくはシールド戦を想定していただければ良い。
前提としてシールド戦と言っておきながら申し訳ないが、まず初めにスタンダードやエクステンデッドなどの構築戦を思い浮かべて欲しい。あなたが先手後手を決めるダイスロールに勝ったとしたら、どちらを取るだろうか?おそらく、大半の人が先手を選択すると思う。
では、何故先手を選択するのか?そのために、ゲームが終わったときの状況を考えてみることにする。以下、簡単のためお互いにマリガンしない、自分のターンでゲームに勝利すると仮定する。先手でゲームに勝ったとき、あなたは相手よりも1ターン多くプレイしている。後手でゲームに勝ったとき、あなたは相手よりも1枚多くカードを引いている。つまり、相対的に、先手なら1ターン、後手なら1枚のカードを得していることになる。では、1ターンと1枚のカード、どちらが貴重であろうか?・・・答えは明白である。
1ターンと1枚のカードの重さを天秤にかけてみて、(完全ではないが)先手がどうも有利そうだというのは分かった。ではここで、マジックのルールを少しいじってみることにしよう。
・お互いのプレイヤーは、手札を持たない状態でゲームを開始する。
その他のルールは既存のものと同じである。このルール下では、先手と後手はどちらが有利だろうか。第1ターン、第2ターンを思い浮かべてみれば自ずと明らかであろうが、後手が有利である。何故なら、先手は第1ターンでドローが無く、何もできぬままターンを終えるからである。第2ターン、後手のプレイヤーはドローができる。この時点で気がつくのは、後手のプレイヤーの方が先手のプレイヤーよりも先にカードをプレイできる機会と確率があるということだ。つまり、後手のプレイヤーの方が、先手のプレイヤーよりも先にアクションを起こしやすいということだ。ここから、次のようなことが言える。
・プレイできるカードが無ければ、ターンがあっても意味はない
補足しておくと、プレイできるカードが無かったとしても、クリーチャーでの攻撃など、ゲームに影響を与えるアクションができるのであれば、ターンに意味がないということはない。
「先手と比べて後手の方が、最初のターンでプレイできるカードの選択肢が1枚多い」という主張は、シールド戦で後手を取る根拠として良く聞く。これは先ほど述べた「プレイできるカードが無ければ、ターンがあっても意味はない」に通ずるところがある。先ほどの仮定で「マリガンしない」としたが、実際我々は嫌になるくらいマリガンをするし、マリガンをしたとしても満足のいく手札に出会える保証はない。そして、手札の呪文をキャストするのに満足なマナソースがなければ、それらの呪文はゲームに影響しない。特に、このマナソースを揃えるために後手を取ると主張するプレイヤーが多いと思う。
そこで、そんなプレイヤー達のために、またまたルールをいじったゲームを考える。
・お互いに手札は20枚からスタート
・手札の上限は無い
このルールのシールド戦であっても、まだ後手の方が有利だというプレイヤーはいるだろうか?数学的な証明はできないが、経験上20枚の手札があってなお、1ターンの有利よりもう1枚多くの選択肢を選ぶということはあり得ない。デッキが40枚とすると、デッキの半分が手札であれば(プレイできるカードの選択肢が1枚増える)<(ターン進行の有利)が成り立つはずである。
改変したルール下での検証から、初期手札がX枚の時、Xが0に近づくほど後手が有利であり、(シールド戦なら)40に近づくほど先手が有利と言える(デッキ全てが初期手札だとライブラリアウトで負けてしまう、というツッコミは無しで)。またこれより、先手・後手の有利が入れ替わる初期手札枚数の境界Bが存在するはずである。B>Xであれば後手と取った方が良いし、B<Xであれば先手を取るべきである。つまり、この分水嶺Bさえ求めることができれば、先手と後手の有利不利が明らかになる。しかし、「先手と後手、どちらが有利かは環境次第」と言われるように、このBも所謂"環境"に依存する。そこで、"環境"がどのようなパラメータによって表されるかを知る必要がある。もしくは、更に問題を簡略化して(例えば、1種類の基本土地と数種類の呪文しかないマジックを仮定する、など)、比較的"環境"に依存しない一般的なモデルを考えるアプローチも考えられる。
結論として「環境次第」という、全く進歩のないオチになってしまったが、"環境"についてのパラメータを考察すればいいことが分かった。これについては以降の考察で取り扱う予定である。
# なお、ご意見、ご感想は随時お待ちしております。コメントまでどうぞ。また、「こういうアプローチはどうか」などのアドバイスも大歓迎です。さらに、「実は答え知ってる」というマジックの神様のような方がおりましたら是非ご連絡下さい。
コメント
そのフォーマット、カードセットでの勝敗のつく平均ターンとか。
タイプ0のように1キルが当たり前なら、別の意味で手札を使えないので、全員が先手を選ぶでしょう。
どう頑張っても30ターン以上かかってしまうフォーマットがあれば、全員が後手を選ぶでしょう。
勝敗のつく平均ターンが3ターンくらいだとしても、1ターン目に手札を全て使い切ってしまうようなカードセットであれば、後手を選ぶかもしれません。
相手1ターン目の《野生のナカティル》からの展開を捌くことがあまりにも困難だからです。
しかし、シールドというゲームは(だいぶ雑な言い方ですが)僕個人的にもらったカードプールの見せ合いだと思ってます。そのデッキの強い部分をより多く引きたいので、基本的に後手でいいと思ってます(デッキが弱いときは先手です)。
他の人はどうしているのか知りませんが
もしダイスロールで負け相手が後手を取る場合、自分のデッキが後手でも大丈夫な時は後手を取る時がありますね。
アラーラならデッキパワーを取るかテンポを取るかで構築を迷うパックなら、上記に加えデッキパワーの高いサイドボードを施します。