ミラディンの申し子、親和。そのデッキパワーはマジック史上トップクラスであり、その歴史は《ブルードスター/Broodstar》を《稲妻のすね当て/Lightning Greaves》で"走らせる"タイプから始まった。ダークスティールで《頭蓋骨絞め/Skullclamp》を得てからはまさに右も左も親和か《減衰のマトリックス/Damping Matrix》という異常なトーナメントシーンを演出し、《頭蓋骨絞め》が禁止された後も《頭蓋囲い/Cranial Plating》によりその勢いは止まることはなかった。遂にはアーティファクトランドと《電結の荒廃者/Arcbound Ravager》、《大霊堂の信奉者/Disciple of the Vault》までがまとめて禁止になるという、ウルザブロック以来の大粛正が行われ、スタンダードでの親和の歴史は幕を閉じることとなる。スタンダードを追われた後はエクステンデッドやレガシー、果てはヴィンテージまでその勢力を拡大しており、オデッセイまでが使用不可となった次期エクステンデッドでもメタの最前線に並ぶことは間違いないであろう。

ところで、現在のレガシーでオーソドックスなデッキと言えば、スレッショルドである。フェッチランドと《思案/Ponder》《渦まく知識/Brainstorm》によるライブラリ操作をベースに、《敏捷なマングース/Nimble Mongoose》や《タルモゴイフ/Tarmogoyf》をスペルでサポートするデッキである。青緑が基本となるが、黒を足して《闇の腹心/Dark Confidant》を採用したり、赤の《稲妻/Lightning Bolt》や白の《剣を鍬に/Swords to Plowshares》のような除去をスプラッシュするタイプなど、様々なバリエーションが存在する。

今回は、レガシーを牛耳るスレッショルドに対して親和が相性が良いデッキであるということから、レガシーにおける親和の新しい可能性を模索してみようと思う。

まず初めに、インベイジョン〜ラヴニカ期のエクステンデッドにおける、青黒サイカトグ対親和のマッチアップを想像してみて欲しい。序盤に高速で展開する親和の動きに、サイカトグのカウンターは追いつかない。ブロッカーとして優秀なはずの《サイカトグ/Psychatog》も、《頭蓋囲い/Cranial Plating》の前には無力・・・と、ここで、似たようなことがスレッショルドにも言えるのではないだろうか。序盤に高速で展開する親和の動きに、スレッショルドのカウンターや除去は追いつかないし、ブロッカーとしての《タルモゴイフ/Tarmogoyf》も、《頭蓋囲い/Cranial Plating》付きの生物と相打ち。何というシンクロニクル。

次に、今度は親和が抱える問題について考察する。これはスタンダードの頃から言われてきたことであるが、デッキにムラがありすぎることが、親和の最大の問題点だと考える。《バネ葉の太鼓/Springleaf Drum》や《金属ガエル/Frogmite》経由での《マイアの処罰者/Myr Enforcer》連打か、《頭蓋囲い/Cranial Plating》による大ダメージという2パターンが主な動きであるが、直接ダメージに関わらない部分、例えば《バネ葉の太鼓》のようなパーツを多く引いてしまうとゲームに勝つのは困難になってしまう。また、デッキの構成上長期戦には向いておらず、早いターンに戦線へ登場できなかった《金属ガエル/Frogmite》や《マイアの処罰者/Myr Enforcer》は、たかが2/2と4/4の生物であり、最早ゲームを決めるのには不充分な力しかないのである。

そこで、もっともダメージを叩き出し、引いてきた生物に依存しない《頭蓋囲い/Cranial Plating》による攻撃プランを重視するチューンを施してみようと思う。具体的にはデッキ中の《頭蓋囲い》の枚数を増やせばいいわけだが、もちろん5枚以上入れるわけにはいかないので、《囲い》をサーチしてくるカードを採用することになる。すぐに思いつくのは《鋼打ちの贈り物/Steelshaper’s Gift》であろうか。

鋼打ちの贈り物/Steelshaper’s Gift (はがねうちのおくりもの)  (白)
ソーサリー 5DN, アンコモン

あなたのライブラリーから装備品(Equipment)カードを1枚探し、それを公開し、あなたの手札に加える。その後あなたのライブラリーを切り直す。


これにより《囲い》の"見かけの枚数"を増やすことが出来るようになった。だが、様々なデッキタイプが存在するこの環境においては、デッキの柔軟性がタメされるシーンも少なくないだろう。そこで、今回は《悟りの教示者/Enlightened Tutor》を使ってみることにしよう。

悟りの教示者/Enlightened Tutor  (白)
インスタント 6ED, アンコモン

あなたのライブラリーからアーティファクト・カード1枚かエンチャント・カード1枚を探し、そのカードを公開する。あなたのライブラリーを切り直す。その後そのカードをその一番上に置く。


サーチしてきたカードがすぐに手札に入らない分、《贈り物》よりは使い勝手が悪いが、その分サーチできるカードは遥かに多くなった。

(本文中のカードテキストはWisdom Guildより転載)

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