各地で話題沸騰のシミチン氏による「マジック次の一手」を考察してみます。元ネタはhttp://diarynote.jp/d/41642/20080211.htmlよりどうぞ。
ここだけの話、こういうじっくり考える問題って面倒臭くて、解こうともせずに正解を見て「へー、そうなんだー」と言っちゃうのが常でした。しかしマジックに限らずこのようなスタンスでは進歩がありません。これを良い機会としてしっかり考えてみたいと思います。
この際なので実際にカードを並べてみました。画像が多少見にくいかもしれませんがカードの絵さえ覚えていれば雰囲気はつかめるかと思います。ちなみに持っていないカードもあったのでプロキシも混じっています。《ルーン刻みの鍾乳石/Runed Stalactite》が《黒曜石の戦斧/Obsidian Battle-Axe》、《狼骨のシャーマン/Wolf-Skull Shaman》が《茨森の模範/Bramblewood Paragon》、《生けるものの洞窟/Zoetic Cavern》が《変わり谷/Mutavault》です。
では、考察に移ります。
流石にこのターンでは勝てそうにないので、2ターンかけて勝つことを考えます。ということは、次のターンは《猫族の戦士ミリー/Mirri, Cat Warrior》+《黒曜石の戦斧》で4点が確定するので、このターンでは最低2点をプレイヤーへ通しておく必要があります。またこの場合、ヒントにもあるように《エルフのチャンピオン/Elvish Champion》と《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker》による《踏み荒らし/Overrun》をケアしないと返しのターンで死んでしまいます。(以下は検証の結果わかることですが、ケアのためには《ガラク》にダメージを与えるか相手のクリーチャーを減らすかのどちらかをしなければいけません。しかし相手が適切なブロックをする限りはどう頑張っても《踏み荒らし》による即死は免れませんので、結局前者の手段を取ることになります。)
まとめると
・このターンでプレイヤーに2点以上通す
・ガラクに1点以上通すか、相手のクリーチャーを減らす
この2つの条件を満たすようなアタックをしなければいけません。
まず、《ミリー》で《ガラク》を攻撃する場合を考えてみます。というのも、《ミリー》の攻撃は森渡りにより絶対通るので《ガラク》にダメージを与えるのにはうってつけだろうというごく自然な考えから来たものです。
そして《ミリー》以外のクリーチャーが「プレイヤーに2点以上通す」ためにプレイヤーへ向かって攻撃します。この場合、《ミリー》が《戦斧》を持つ必要はないので、「相手のクリーチャーを減らす」ために他のクリーチャーに持たせます。候補としては《克服者》《変わり谷》《ラノワールのエルフ》がありますが、誰に持たせても適切なブロックをされると返しの《チャンピオン》によって負けてしまいます。(《変わり谷》に持たせた場合は《踏み荒らし》を防いだ上で《チャンピオン》を呼ばれても即死しませんが、2ターン目の《ミリー》のアタックでも相手を倒せず、結局負けてしまいます。)この部分はいろいろ書くと長くなってしまいますので割愛させていただきます。
ではどうするか?始めに「流石にこのターンでは勝てそうにない」と言っておいてなんですが、このターンで勝つつもりでアタックしてみましょう。すなわち、《ガラク》を無視して全員プレイヤーへ総攻撃です。このとき《戦斧》はダメージの効率上《ミリー》に持たせることにします。適切なブロックが当たると、《ラノワールのエルフ》による1点と、《ミリー》の4点がプレイヤーに入ります。
残念ながら相手のライフ6点を削り切る事はできず、返しの《踏み荒らし》で死んでしまいます。・・・ちょっと待てよ?と思った貴方は鋭いです。実は、《エルフ》による1点のダメージが《ガラク》へ通れば、《踏み荒らし》を防ぐことによって先ほど述べた条件を2つとも達成することができるのです。
ということで正解は「《戦斧》を《ミリー》に持たせたまま、《エルフ》3体が《ガラク》へ、他はプレイヤーへ攻撃」です。
ところで、実際のゲームでこの詰めマジックをするにはいくつかの前提があります。まず一つは「この盤面から勝ちに行ける」ことに気がつくことです。僕が実際この場面に遭遇したら、《ガラク》による《踏み荒らし》を防ぐために《ミリー》で《ガラク》を破壊するだけにとどまるでしょう(そして返しの《チャンピオン》で死亡。)。さらに、もう一つ「相手が《エルフのチャンピオン》を持っている(もしくは引いてくる)かも知れない」と気がつくことです。ここまでの議論は《チャンピオン》による返しのアタックを当然のようにケアしています。当たり前の話ですが、《チャンピオン》の存在に気がつかないとこれはできません。
今回の問題のように、重要な状況から詰める思考も必要ですが、盤面を見て「ここから詰められる」という状況判断力(いわゆる大事な局面を嗅ぎつける”嗅覚”ですね)も大切だと言うことができます。こういうことを考えるにつけ、マジックの奥の深さに感心するばかりです。
# ちなみに今回の議論は、「実際にどのような過程で正解に辿り着くのか、最短の過程を辿るにはどうすればいいか」を考察したものです。既に正解を知ってしまっていた上で議論を進めたので、正解がわかっているから言える"正解ありき"の論述があるかもしれません。「ここはおかしい」等、ご意見やご感想がありましたら是非教えてください。
ここだけの話、こういうじっくり考える問題って面倒臭くて、解こうともせずに正解を見て「へー、そうなんだー」と言っちゃうのが常でした。しかしマジックに限らずこのようなスタンスでは進歩がありません。これを良い機会としてしっかり考えてみたいと思います。
この際なので実際にカードを並べてみました。画像が多少見にくいかもしれませんがカードの絵さえ覚えていれば雰囲気はつかめるかと思います。ちなみに持っていないカードもあったのでプロキシも混じっています。《ルーン刻みの鍾乳石/Runed Stalactite》が《黒曜石の戦斧/Obsidian Battle-Axe》、《狼骨のシャーマン/Wolf-Skull Shaman》が《茨森の模範/Bramblewood Paragon》、《生けるものの洞窟/Zoetic Cavern》が《変わり谷/Mutavault》です。
では、考察に移ります。
流石にこのターンでは勝てそうにないので、2ターンかけて勝つことを考えます。ということは、次のターンは《猫族の戦士ミリー/Mirri, Cat Warrior》+《黒曜石の戦斧》で4点が確定するので、このターンでは最低2点をプレイヤーへ通しておく必要があります。またこの場合、ヒントにもあるように《エルフのチャンピオン/Elvish Champion》と《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker》による《踏み荒らし/Overrun》をケアしないと返しのターンで死んでしまいます。(以下は検証の結果わかることですが、ケアのためには《ガラク》にダメージを与えるか相手のクリーチャーを減らすかのどちらかをしなければいけません。しかし相手が適切なブロックをする限りはどう頑張っても《踏み荒らし》による即死は免れませんので、結局前者の手段を取ることになります。)
まとめると
・このターンでプレイヤーに2点以上通す
・ガラクに1点以上通すか、相手のクリーチャーを減らす
この2つの条件を満たすようなアタックをしなければいけません。
まず、《ミリー》で《ガラク》を攻撃する場合を考えてみます。というのも、《ミリー》の攻撃は森渡りにより絶対通るので《ガラク》にダメージを与えるのにはうってつけだろうというごく自然な考えから来たものです。
そして《ミリー》以外のクリーチャーが「プレイヤーに2点以上通す」ためにプレイヤーへ向かって攻撃します。この場合、《ミリー》が《戦斧》を持つ必要はないので、「相手のクリーチャーを減らす」ために他のクリーチャーに持たせます。候補としては《克服者》《変わり谷》《ラノワールのエルフ》がありますが、誰に持たせても適切なブロックをされると返しの《チャンピオン》によって負けてしまいます。(《変わり谷》に持たせた場合は《踏み荒らし》を防いだ上で《チャンピオン》を呼ばれても即死しませんが、2ターン目の《ミリー》のアタックでも相手を倒せず、結局負けてしまいます。)この部分はいろいろ書くと長くなってしまいますので割愛させていただきます。
ではどうするか?始めに「流石にこのターンでは勝てそうにない」と言っておいてなんですが、このターンで勝つつもりでアタックしてみましょう。すなわち、《ガラク》を無視して全員プレイヤーへ総攻撃です。このとき《戦斧》はダメージの効率上《ミリー》に持たせることにします。適切なブロックが当たると、《ラノワールのエルフ》による1点と、《ミリー》の4点がプレイヤーに入ります。
残念ながら相手のライフ6点を削り切る事はできず、返しの《踏み荒らし》で死んでしまいます。・・・ちょっと待てよ?と思った貴方は鋭いです。実は、《エルフ》による1点のダメージが《ガラク》へ通れば、《踏み荒らし》を防ぐことによって先ほど述べた条件を2つとも達成することができるのです。
ということで正解は「《戦斧》を《ミリー》に持たせたまま、《エルフ》3体が《ガラク》へ、他はプレイヤーへ攻撃」です。
ところで、実際のゲームでこの詰めマジックをするにはいくつかの前提があります。まず一つは「この盤面から勝ちに行ける」ことに気がつくことです。僕が実際この場面に遭遇したら、《ガラク》による《踏み荒らし》を防ぐために《ミリー》で《ガラク》を破壊するだけにとどまるでしょう(そして返しの《チャンピオン》で死亡。)。さらに、もう一つ「相手が《エルフのチャンピオン》を持っている(もしくは引いてくる)かも知れない」と気がつくことです。ここまでの議論は《チャンピオン》による返しのアタックを当然のようにケアしています。当たり前の話ですが、《チャンピオン》の存在に気がつかないとこれはできません。
今回の問題のように、重要な状況から詰める思考も必要ですが、盤面を見て「ここから詰められる」という状況判断力(いわゆる大事な局面を嗅ぎつける”嗅覚”ですね)も大切だと言うことができます。こういうことを考えるにつけ、マジックの奥の深さに感心するばかりです。
# ちなみに今回の議論は、「実際にどのような過程で正解に辿り着くのか、最短の過程を辿るにはどうすればいいか」を考察したものです。既に正解を知ってしまっていた上で議論を進めたので、正解がわかっているから言える"正解ありき"の論述があるかもしれません。「ここはおかしい」等、ご意見やご感想がありましたら是非教えてください。
コメント
アタックが満たさなければならない条件は、
・このターンでプレイヤーに2点以上通す(次のアタックで勝ちたい)
・ガラクに1点以上通す(踏み荒らしは負け確定)
・相手のクリーチャーを2体以上減らす(踏み荒らしが無くても2体は減らさなければチャンピオンで負け)
の3つになります。
Ei-mさんが挙げた条件を満たすだけなら「ミリーで本体にアタック、克服者1体でガラクにアタック」ですら条件を満たしてしまっています。
TKさんの仰るとおり、
・相手のクリーチャーを2体以上減らす
という条件は、返しのターンで生き残るために必要なものです。しかし、相手のクリーチャーが減る数は、こちらのアタックで相手のライフをどれだけ脅かされるのかに依存するので、アタックする前の条件として記述せず、
・このターンでプレイヤーに2点以上通す
・ガラクに1点以上通す
を満たすようなアタックをしてみて、適正なブロックを割り当ててみて(相手は本体へのダメージを5点まで通せますから)、相手のクリーチャーが2体以上減らないようなら「この選択肢はダメ」として試行しています。なので本来なら「ガラクに1点以上通す」の後ろについていた「相手のクリーチャーを減らす」という条件も非常に曖昧だったので書くべきではありませんでしたね。記述がどっちつかずになっていたことをお詫び申し上げます。